屋根下地(家づくりその17)
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現場の屋根を見ながら、日本の家は、雨との戦いだったのだとつくづく感じます。
雨仕舞い、納まり、勾配、瓦、葺き土...。
風土が工夫に、工夫が伝統になり、
他国の建築と違う「美しい屋根」をつくったのです。
大げさでなく、建築から日本の民族史の一端が見えるんです。
その建築史も、ここ数十年で大きく変わりました。
それは良くも悪くも、断熱材が登場したことによります。
断熱材は、悪い側面を知らないと、利点を生かし切れません。
諸刃の剣なのです。
断熱材がないときには起こりえなかった「壁体内結露」という問題があります。
実際、断熱材の普及の際には、いろんな事故がありました。
「なみだたけ事件」は、その中でも有名です。
それらはすべて、材料が悪いのではなく、施工方法が悪かったのです。
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断熱材に水蒸気が入らないようにすることはもちろんなのですが、
実際には、完全に防ぐことはできません。
それだけに、断熱材に入った水蒸気を如何に逃がすかがポイント。
Tさんの家の屋根には、4つの工夫があります。
1.屋根断熱の外側に通気層を設ける
2.荒木の野地板を使う
3.ルーフィング(防水紙)に、透湿性能のあるものを使う
4.瓦を使う
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野地板は拡大すると解るように、隙間が透けて見えます。
合板では、接着材の層が水蒸気を透過するのを止めてしまいます。
そこに結露が生まれるのです。
粘りのある未乾燥の荒板をぴったりと並べて張ると、自然にこの隙間ができます。
この隙間があって良いんです
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そんな裏方とは無縁に、美しい軒先です。
日本の建築美の伝承です。
この時代に生きる建築屋が、次世代に伝えなければ...。
家の外観は、屋根で決まるんですから
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