2016年12月24日

設計者チェックと完了検査。

今年は忙しすぎて、ブログアップが遅れております。
年の瀬間際まで確認申請だとか新規プランで、ありがたいことです。


さて、神宮寺の家、最後の追い込みで全ての箇所を点検して回ります。
直せるところは引き渡しまでに直し切る。というのが鉄則です。


とはいえ、施工中にできた傷やヒビなど、直すのが難しいものもあります。


特に材質の特性から、そうなってしまうもの。
これは致し方がないです。


ただ、幸なことに、この神宮寺の家では、自然素材を使って施工している割に、そうした箇所が少なかったです。
これは、大工のウデも良かったというのもあります。


なぜ、こんな話になるかというと、いい材料(本物)を使えば使うほど、こうしたことが起こりやすいのです。


逆に、ハウスメーカーさんがなぜ自然素材を使わないかというと、職人のウデに左右されること、さらにクレーム処理が大変な上、単価が高いから。


これを理解した上で、どういった家にしたいか自由に選択できる、地元工務店や建築士という選択があると思います。


また、物売りと同じように家を売ってるのがハウスメーカーさん。
中にはスペシャルなモデルハウス(売り物とはかけ離れた特注バージョン)にホイホイされることもあるかと思いますが、カシコイ施主さんが増えてきています。


設計事務所というのは一見、自信満々に仕事をしているように見えますが、意外と小心者で、自然素材がうまく行ってるかチェックする訳です。


お客さまに満足いただけるか、それだけが目標なのです。


そんな訳で、実は玄関脇の外壁はクラックが気になり、やり替えていただきました。

左官工事は大好きですが、こうした湿式工法は仕上がりが思うように行かない時があります。
しかし、それ以上に、良い味というか風格ができてくるものだと思います。

建物は、こうして完成度を増して行きます。
公的な完了検査も終えて、施主検査(お客さまと一緒に見て回る)を待つばかりです。  


Posted by たかだい at 11:11Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年09月16日

気密測定。


「神宮寺の家」工事完了前に、気密測定を行ないました。

気密測定では、建物から空気を吸い出し、室内外の圧力差から、隙間から漏れる空気の量を測定します。

そして、住宅の床面積1平方メートルに対して、隙間が何平方センチメートルあるか?
隙間相当面積(cm2/m2)というのですが、そういう数字で判断します。

5.0cm2/m2を下回れば気密住宅。
2.0cm2/m2を切れば優秀とされています。


さて、準備も整い、いざ引いてみると。。。。

2.0cm2/m2!
すこし前では、なかなか達成することが難しかった目標値の成績です。


しかし、現場のメンバーは納得がいきません。
いや、なんかおかしいと。

建物の隅々までチェックして、原因を突き止めました。
和室への小上がりの部分、この部分の気密が不十分であると発見。
早速、補修工事をと指示します。


さて、その後日。改めて、気密測定。

実験中の感覚が、明らかに前回と違います。
これはいくなあと。


合計3回引いたのですが、出てきた数字は、1.1cm2/m2、1.0cm2/m2、1.2cm2/m2。

気密性が高いと、換気扇などに貼る目張りが弱くなり剥がれてしまうので、最後は落ちました。
ということで、1.0-1.1cm2/m2の性能を有していることがわかりました。

気密測定は、こうして見えない箇所の検査をすることができるので、性能を知るだけでない効果があります。
スペック至上主義ではないですが、やはり安心感が違いますね。  


Posted by たかだい at 08:05Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年09月15日

左官、防音室。


「神宮寺の家」8月上旬と下旬の監理。

夏期休暇の前後で、内壁の左官工事に入ってもらいました。
塗るのは、珪藻土の中でも良いもの。

珪藻土と一口に言っても様々なものがあります。
100種類近い珪藻土を調べたことがありますが、やはりコレってのが数種類あります。


お客さまを交えて、塗り方を決めて行きます。
最初は左官職人のお父さん。

アンパンマンに出てくるジャムおじさんみたいな風貌です。


次に息子さん。
親子して2人とも体格がいいです!

リオオリンピック見て、懐かしいなあ、というので、聞くと
学生相撲で日本代表となり、リオでも活躍したとか。
ただのデッカイ人ではなかったです。スゴい!


さて、仕上がったというので、見に行きました。
せっこうボードが隠れて、少しトーンを落とした白い壁がスッキリとした印象。


そして、電気器具も付けられました。
シーリングファンは、今回はこのスペース。
室内で唯一の下屋部分です。

ということで、キレイになった雰囲気を一通り。




お?っということで、ちょっと解説。
手前のニッチの奥に、今までナイショにしていた部屋。


ワイルドな仕上がりの防音室。


本格的な金物を使い、ある程度の防音を可能としています。

見てください、仕上げはJASのスタンプが見えたままです。
これ、カッコいいですよ。


バルコニーには手摺がつきました。
木製の手摺で、肉厚のものがついています。


天気もよいので、南側の外観も。


袖壁や飛び出した部屋のおかげで、風がこれに当たり、室内に風を導きます。

ホント計画通り、よく風が通るので、設計者としては、ガッツポーズです。
  


Posted by たかだい at 20:00Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年09月15日

現場監理7/23。


「神宮寺の家」の7月下旬の現場監理。
なんかスッキリ!ということで、足場が外れました。

この住宅は、ほぼ総2階建てで、一部ロフトを小屋裏収納として使っております。
また、太陽光発電を5.8kWほど載せるため、南面する屋根面積を増やしています。


これらの要素のため、北側のファサードは、このように立上がります。

高くなってしまう建物を、デザイン的にいかに低くするか。
ヒューマンスケールで目線を操作します。
写真だと全体をパッと見るんですが、実際に現地に立つとこれが生きてくるんです。

今回は、玄関ポーチと自転車置きスペースを下屋にして抑えたこと、
左官仕上げで目線を下へと誘引すること、そして、カーポートを手前に置くことで、
幾重にもヒューマンスケールを与えるという手法です。

このカーポートも当初は木造で!とも考えておりましたが、
トータルコストのバランスを見て、アルミニウム製の3台用としました。

雨にほとんどぬれずに、家へアクセスできますので、やはりカーポートはいいですね。
まあ、収納やそれ以上のものを望むなら、ガレージです。


さて内部はほぼ下地が終わり、大工工事で残すは造作家具のみ。
各所の納まりも、全てうまく行きました。


この日はキッチンセットの組み付け。
専門業者が取り付けます。


さて前回、仮のものだった階段板が、取り付けられていました。
これはその板を下から見上げたもの。

クイズです。
この段板どうやって使うのでしょうか?

答えは最後に。


その段板を踏みしめて、2階に上ってみました。
階段の強度も、登り勝手もバッチリです。

2階は最後の納まり。




さてさて、先ほどのクイズの答え。



「懸垂運動をするための手掛けの穴」でした。
低めの段からありますので、小さなウチから使うことができます。

できてくると、懸垂しながら、上がったり下りたり。
巨体の私もぶら下がってみましたが、十分な強度でした。
でも懸垂は1回でヤメておきました。笑
  


Posted by たかだい at 14:58Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年08月26日

現場監理7/14。


神宮寺の家、7月中旬の現場監理です。

神宮寺の家は、建具を一点モノで製作します。
その建具の打ち合わせをした関係で、1週間現場を空けていました。
おかげで、あらゆる箇所が変わっていました。


前回、下塗りだった外壁が、仕上がっていました。
コーナーは、やわらかなアールを取っています。

このアールを一部では「ブルノーズ」と呼んでいますが、光の当たり方で、穏やかで優しい感じになりますね。
色合いも、テクスチャーも素晴らしいものです。


室内に入って、まず目を引いたのは、階段のササラ桁。
階段下のサブの入り口の室内建具との取り合いも、うまく行きました。


これはリビング側から。

玄関からは、手前のメインと階段下のサブの入り口があります。
階段でサブの入り口を何となくカバーして、奥まった感を出しました。

基本設計の際に、平面図で創造していた空間が、実際に見えた瞬間です。
こういうのがウデの見せ所なんです。
ちょっと地味ですが...。


一部「仮の段板」を登って2階へ。
「仮の段板」を載せている理由は、また次回。

振り返るとロフトへ向かう階段が見えます。
こちらは全ての段板が、完成していました。


ロフトへ上がる前にバルコニーもチェック。

グッと抑えられた感じがあるのですが、これが実は気持ちがいいのです。
広い空間を望む時には、穴蔵のようなところから見ること。
これは設計メソッドであり、鉄則です。

腰壁ができるとまた、さらに良くなるのです。


そして、小屋裏のロフト空間。
スゴくいい部屋。

よく建物見学会で、最後に見に行くんですが、ここで話し込んじゃうっていうケースが多いのです。
天井が低くて、自然に座り込み、そのまま話が盛り上がるという。

普段の生活では、単なる物置ですが、その空間のポテンシャルは、実に高いものなんですね。
  


Posted by たかだい at 11:06Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年08月24日

現場監理6/26。


さて、神宮寺の家の6月下旬です。
主に1階の外壁工事が進んでいました。


前回と比べていただくとわかると思いますが、1階部が暗い色になっています。


近づいてみるとこのような感じです。
これは左官の下地で、モルタル下地と言います。


玄関ポーチと駐輪場に軒天が張られ、色が着いているので、コントラストがついて綺麗ですね。
この下地もいいものですが、やはり上塗り(仕上げ)をして良くなります。


こちらは南のプライベートな庭側です。
左官というのは、味があり、現代の材料の中で最も雰囲気を作れるものです。
それだけに、色や塗り方には、やはり好みが出るもの。


オススメの色や塗り方などもありますが、打ち合わせによって、お客さまの個性が出る塗り方を選択したいと考えています。
もちろん、大外しの場合にはフォローしますが、今回もいい感じのものを選定されていました。

仕上がりの具合は、また次回。  


Posted by たかだい at 16:52Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年08月23日

神宮寺現場6/19。


このところ、急ぎの仕事が被りすぎて、更新滞っておりました。
補助金は大変有り難いのですが、他の仕事に影響が大きいですね。。。

さて、神宮寺の家、その後です。
工事は滞りなく進んでおります。

6月中旬の検査では、金属系の外壁が終了しました。


この板は、床板になります。
床暖房をつけない場合でも、意外と暖かいのが杉の板。
風合いも、触り心地も「世界最高」です。

唯一の欠点は、傷がつき易いこと。


圧密加工というものを施して、この欠点を抑えた杉の板。
今回はそんな技術を使った、天竜杉を選定しました。

ちょうど1階の床を張りはじめていました。


こちらは2階の勾配天井。
人・建築設計所お得意のシナの目透かし張りです。

もう何度も張っていますから、パッと見るだけで、大工のウデもわかってしまいます。
今回もやっぱり、いい大工を入れてくれました。
エムツーさん、ありがとう。

設計事務所の物件は、いいウデを持つ大工が入ってくれます。
ウチとしても気持ちよく仕事ができますが、お客さんにも嬉しいことだと思います。


配管の取り回しなども確認しながら進めます。
今回は2階浴室ですので、排水管が太いこともあり、現場で擦り合わせを行ないました。


また、ボイラーリモコンやインターフォン、スイッチ類など纏まってくる壁も、こうして現場にて確認をします。
並びも美しく、使い勝手もよく。ということが、真の目的ですが、構造上重要な筋交いもありますので、上手く配置をということです。

  


Posted by たかだい at 08:29Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年06月16日

現場監理。


浜松市北区「神宮寺の家」の現場管理です。

時間をブログにかけられず、ちょっと遅くなりました。
今月はじめの頃の状況です。


外壁下地は通気胴縁が取り付けられて、一部プラスターボードの上にガルバリウム鋼板を貼りはじめました。
このガルバリウム鋼板、素材として長持ちな方なのです。


見た目はリッチとは言えませんが、スッキリとしてシャープです。

塗装はどうしても劣化しますが、選ぶ色にもよります。
この焦げ茶は、それでも劣化が遅めです。

青や緑の塗装は、色が薄くなるのが早いですね。


さて内部は、電気配線を済ませた後、吹付け断熱が吹かれ、仕上げが一部貼られていました。

杉の縁甲板は、張りたてはこのように色の違いが目立ちますが、徐々に似たような色になって落ち着きます。
さらに経年変化すると、赤いところが白、白いところが濃くなり、反転します。


キッチンの天井は、防火の関係で、少し厚いせっこうボードを使います。
材料の厚みも確かめておきます。


こちらは2階のフィッティングルーム。

WIC(ウォークインクローゼット)を求める方も多いと思いますが、人・建築設計所では、衣類の動線を整理し切った結果、フィッティングルームをおススメしています。


ユニットバスも据え付けられていました。

こういうところにお客さまの好みが出現するので、設計者としてはどんな色目を選んだのか、ちょっと楽しみだったりします。
商業建築では、こうしたところのデザインコントロールが大切な時もありますが、個人住宅ですので、お好みで!が一番です。

ということで、今回の現場監理でした。
できるだけ時間が空かないようにレポートできるように、頑張ります。  


Posted by たかだい at 16:23Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年05月12日

中間検査、屋根勾配。


浜松市北区の「神宮寺の家」は本日、公的検査の中間検査を受けました。

ところで、人・建築設計所の屋根勾配の話。
ちょっと他では見ない角度だと思います。

この角度は何棟も研究を重ねた、ちょうどいいカッコいい角度だと自負しています。
まあ、それだけなんですが、こうしたコダワリは押し付けずにサラッとやるようにしています。

というのも、お客さまは初めて家を建てる人がほとんどです。
気がつかないところに、気を遣っているというサポートなんですね。


さてさて、中間検査は検査員と一緒に金物をチェックして回ります。
各部が設計通り、仕様通りに行ってるか、チェックします。

全て回って、合格!

今回の検査で、同時に瑕疵担保責任保険のチェックも兼ねています。


屋根も板金がなされて、安心しました。
最近、雨が多いですからね。  


Posted by たかだい at 17:42Comments(0)新築ゼロエネ住宅神宮寺の家

2016年04月20日

ガレージのある家vol.36

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ゼロエネ住宅でもある「富塚町の家」がネコパブリシング社の「ガレージのある家vol.36」(最新号)に掲載されました。
ネコパブは「ガレージライフ」で、その道では有名ですね。

同じ編集部でつくっているのですが、こちらは家をつくる時に見る本です。
つくった人が楽しんでるのが「ガレージライフ」なんですね。

「富塚町の家」は昨年の夏、完成し、完成邸見学会でも大好評でした。
いまでも、「あの家見たよ!」といわれるほど、インパクトがあるようです。
ぱっと見は大きな邸宅ですが、細部まできちんと気を配った家です。

さて、今回の雑誌取材で知ったのですが、お客さまが人・建築設計所に巡り会うまで、20数件の見学会やモデルハウスに通ったのだそうです。
その中でプランを描いてもらったところもあるとか。

しかし、思ったことができず、困っていたところに、人・建築設計所の見学会があったのだそうです。
見学会で初めてお会いした時のことは、私も印象に残っていました。

その後、もう1軒見学会で見ていただき、プランを描かせていただきました。
そのプランを一遍に気に入っていただけて、人・建築設計所で建てることになったのです。

そんな一遍で気に入っていただいたプランも、掲載されています。
ぜひ書店でお手に取っていただき、良かったらご購入ください!

ネコパブリシングWEB